実家の相続を考え始めたとき、多くの方が最初に意識するのは家屋や土地、預貯金といった「財産」そのものかもしれません。しかし、実際に住んでみると、あるいは管理を任されてみると、想像以上に頭を悩ませるのが「庭」の存在です。長年かけて手入れされてきた庭は、放っておけばすぐに荒れてしまいますし、かといってどう扱えばよいのか分からないという方も多いでしょう。この記事では、相続前後に実家の庭について考えておきたいポイントを整理します。
実家の庭が抱えやすい問題

長年住み続けてきた実家の庭は、親世代が丹精込めて育ててきたものであることが多く、樹木が大きく育ちすぎていたり、石組みや灯籠など日本庭園ならではの要素が数多く残っていたりします。こうした庭は見た目に趣がある一方で、管理には相応の手間と知識が必要です。相続をきっかけに実家を離れて暮らす子世代が管理を引き継ぐ場合、庭仕事に不慣れなことも多く、「どこから手を付ければいいのか分からない」「植木の種類も分からないまま放置してしまっている」という声もよく聞かれます。さらに、空き家状態が続くと庭の荒廃はより早く進みやすく、近隣への影響を心配する声が出てくることもあります。
相続前に把握しておきたいこと

相続が発生してから慌てて庭の状態を確認するのではなく、できれば相続前の段階で庭の現状を把握しておくことをおすすめします。具体的には、庭にどのような樹木や石組みがあるか、定期的に手入れを依頼している業者がいるかどうか、過去にどのような手入れをしてきたかといった情報です。親世代がまだ元気なうちに話を聞いておくことで、庭に込められた思い入れや、大切にしてきた部分を知ることができ、将来的な方針を立てやすくなります。また、庭の維持にどの程度の費用がかかっているかを把握しておくことも、相続後の判断材料として役立つでしょう。金額は庭の規模や状態によって幅があるため、気になる場合は一度専門家に見積もりの相談をしてみるのも一つの方法です。
庭を「残す」「縮小する」「作り替える」という選択

実家の庭をどうするかという問いに、唯一の正解はありません。思い出の詰まった庭をできる限りそのまま残したいという考え方もあれば、管理の負担を減らすために植栽を整理し、手入れのしやすい形に縮小するという考え方もあります。また、住まい方が大きく変わるのであれば、庭全体を今の暮らしに合わせて作り替えるという選択肢も検討に値します。日本庭園の要素を活かしながら管理しやすいスタイルに再構成することで、思い出を残しつつも負担を軽くできるケースもあります。大切なのは、家族それぞれの希望を早い段階ですり合わせておくことです。相続が発生してから方針を決めようとすると、時間的な制約の中で十分に話し合えないまま結論を急いでしまうこともあるため注意が必要です。
空き家となった実家の庭をどう管理するか

相続後、実家に誰も住まなくなり空き家となるケースも少なくありません。この場合、庭の管理は特に悩ましい問題になります。定期的に訪れて手入れをするのが理想ですが、遠方に住んでいる場合はそれも難しいものです。放置された庭は雑草が生い茂り、樹木の枝が隣地にはみ出すなど、近隣とのトラブルの原因になることもあると言われています。管理会社やシルバー人材センターなどに定期的な手入れを依頼する方法もありますが、日本庭園のように専門的な知識が求められる庭の場合、通常の草刈りだけでは対応しきれないこともあります。将来的に売却や活用を考えている場合は、庭の状態が物件の印象にも影響することがあるため、早めに方針を決めておくと安心です。
家族での話し合いと専門家への相談

実家の庭の扱いは、財産分与のように明確な数字で分けられるものではないため、家族間で認識のズレが生じやすいテーマでもあります。「思い出があるから残したい」という気持ちと、「管理が大変だから手放したい」という現実的な事情がぶつかることも珍しくありません。こうした場合、第三者である専門家に現状を見てもらい、客観的な意見をもらうことが話し合いを前に進める助けになることがあります。ZenGardenでは、日本庭園を中心とした庭づくりのプロデュースを行う窓口として、既存の庭を活かす方法や、管理しやすい形への見直しなど、家庭ごとの事情に合わせた提案を行っています。相続という大きな節目だからこそ、庭についても早めに専門家の視点を取り入れてみることをおすすめします。
これからの庭との付き合い方を考える

実家の庭は、単なる敷地の一部ではなく、家族の歴史や思い出が積み重なった場所でもあります。だからこそ、相続をきっかけに「どうするか」を考えることは、単に管理の負担を減らすためだけでなく、これからの家族の暮らし方を見つめ直す機会にもなります。焦って結論を出す必要はありませんが、放置すればするほど選択肢が狭まってしまうのも事実です。まずは現状を把握し、家族で気持ちを共有しながら、必要に応じて専門家の力も借りて、無理のない形で庭の未来を考えていきましょう。
