法人施設の庭園における労働安全衛生上の注意点

監修者:Japanese Garden TV

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法人が所有・管理する施設の庭園は、来訪者の目を楽しませる場である一方、日常的な維持管理や工事の際には労働災害のリスクを伴う作業空間でもあります。総務・施設管理の担当者は、造園を「景観づくり」だけでなく「労働安全衛生の管理対象」として捉え、委託先の管理体制や現場の安全対策を確認しておく必要があります。

庭園管理業務に潜む主な労働災害リスク

庭園管理業務に潜む主な労働災害リスク

庭園の維持管理では、高所での剪定作業、チェーンソーや刈払機など刃物を使う機械作業、脚立や高所作業車からの転落、熱中症、蜂やヘビなどの生物被害など、多様なリスクが存在します。特に大径木の剪定や伐採は、法人施設であっても一般家庭の庭とは規模が大きく異なり、高所作業や重機の使用が伴うケースが少なくありません。また、池や水景施設がある庭園では溺水リスク、法面や傾斜地では転倒・滑落のリスクも想定しておく必要があります。さらに、農薬や除草剤、肥料などの薬剤を扱う作業では、取り扱い方法を誤ると作業者自身の健康被害だけでなく、周辺の従業員や来訪者への飛散・曝露リスクも生じ得るため、使用する薬剤の種類や散布方法、保護具の着用状況についても確認しておくべき項目の一つです。担当者としては、委託する造園会社がこれらの作業リスクをどの程度体系的に洗い出し、対策を講じているかを、契約前の打ち合わせ段階で確認しておくことが望ましいです。具体的には、作業内容ごとの想定リスクと対策を一覧化した資料の提示を求めるなど、口頭確認だけに頼らない進め方が実務的です。加えて、過去に発生したヒヤリハット事例や軽微な事故の報告があるかどうかも、委託先の安全意識を測る一つの材料になります。事故の有無だけでなく、発生後にどのような再発防止策を講じたかという説明ができる業者は、日頃から安全管理を組織的に運用している可能性が高いといえます。年間契約の中で複数回の作業が発生する場合には、季節ごとに想定されるリスクが変化する点も踏まえ、通年でのリスク一覧を用意してもらうと、施設管理担当者としても見通しを持って対応しやすくなります。

委託先の安全衛生管理体制の確認ポイント

委託先の安全衛生管理体制の確認ポイント

庭園工事や定期管理を外部の造園会社に委託する場合、発注者である法人にも一定の安全配慮に関する責任が及ぶ可能性があります。そのため、委託先の安全衛生管理体制を事前に確認することが重要です。確認すべき代表的な項目としては、作業員への安全教育の実施状況、有資格者(高所作業車の運転、玉掛け、伐木等)の配置状況、労災保険の加入状況、作業手順書やヒヤリハット報告の運用有無などが挙げられます。これらは口頭での説明だけでなく、書面や資料での提示を求め、社内の稟議・発注記録として保管しておくと、後日のトラブル対応や監査の際にも役立ちます。特に複数年にわたって同じ委託先と契約を継続する場合でも、体制は年ごとに変化し得るため、契約更新のタイミングで改めて確認を行う運用にしておくと、安全管理のレベルを一定以上に保ちやすくなります。また、下請け業者が入る多層構造の場合には、元請けだけでなく下請け業者側の安全教育や資格保有状況まで把握できているかどうかも、確認しておきたいポイントの一つです。なお、法的な責任範囲の解釈については個別の契約形態や現場状況によって異なるため、一般的には発注者側も弁護士や社会保険労務士など専門家に確認することが推奨されます。

現場での日常的な安全対策のチェック項目

現場での日常的な安全対策のチェック項目

定期的な植栽管理や芝刈り、除草といった日常業務であっても、安全対策は欠かせません。施設管理担当者が現場を巡回する際には、作業区画の立入禁止表示や養生ロープの設置状況、来訪者動線と作業動線の分離、機械類の点検記録の有無、熱中症対策としての休憩・水分補給体制などを確認するとよいでしょう。特に商業施設やオフィスビルの庭園では、一般の来訪者やテナント従業員が作業エリアの近くを通行することも多いため、飛散物や落下物から第三者を守る養生・バリケードの設置が重要になります。こうした現場の安全管理状況は、委託先任せにせず、法人側の担当者が定期的に現地確認を行い、記録を残しておくことが望ましい運用です。巡回の際には、写真やチェックシートを用いて客観的な記録を残すようにすると、複数の担当者間で状況を共有しやすくなり、担当者交代時の引き継ぎもスムーズになります。加えて、テナントや従業員から寄せられた安全面での懸念や指摘を集約する窓口を設けておくと、現場を熟知していない担当者でも見落としがちなリスクに気づける可能性が高まります。

台風・強風時など悪天候時の作業判断

台風・強風時など悪天候時の作業判断

庭園管理の中でも特にリスクが高まるのが、台風接近時や強風・大雨などの悪天候下での対応です。倒木のおそれがある樹木の緊急対応や、飛散した枝葉・資材の片付けなどは、通常時よりも高いリスクを伴います。法人としては、悪天候時にどのような基準で作業を中止・延期するか、緊急対応が必要な場合の連絡体制や判断フローをあらかじめ委託先と取り決めておくことが有効です。また、悪天候後の点検についても、倒木や枝折れ、地盤の緩みなどを専門家の目でチェックしてもらう体制を整えておくと、二次被害の防止につながります。こうした緊急時対応の取り決めは、通常の保守契約とは別に、災害時対応に関する覚書として書面化しておくケースもあります。台風接近前の事前伐採や支柱補強をどの段階で判断するか、また悪天候下でも緊急性が高いと判断される作業についてどのような安全対策を講じた上で実施するかといった基準についても、委託先とあらかじめすり合わせておくと、実際の対応時に判断が遅れるリスクを抑えられます。台風シーズン前には、通常の定期点検とは別枠で緊急点検の機会を設ける法人も少なくありません。

社内での安全管理体制づくりとZenGardenのような第三者支援の活用

社内での安全管理体制づくりとZenGardenのような第三者支援の活用

庭園の安全管理を実効性のあるものにするには、施設管理担当者が造園の専門知識をすべて持つ必要はありませんが、委託先の提案や報告を適切に評価できる体制を社内に整えておくことが重要です。定期報告のフォーマットを統一する、安全対策に関するチェックリストを社内で共有する、複数の造園会社から提案を受けて比較検討するといった取り組みが考えられます。こうしたプロセスにおいて、法人と造園会社の間に立ち、業者選定や管理体制の確認をサポートするプロデュース・代理店のようなサービスを活用することも一つの選択肢です。専門的な観点から複数業者の安全管理体制を比較したり、契約条件の整理を手伝ってもらうことで、担当者一人で抱え込むことなく、より安心できる庭園管理の仕組みを構築しやすくなります。また、こうした第三者的な立場のサービスは、法人側の要望と造園会社側の現場実態の双方を理解した上で調整役を担えるため、安全管理に関する要求水準のすり合わせがスムーズに進みやすいという利点もあります。社内に造園や労働安全衛生の専門知識を持つ人材が少ない企業ほど、こうした外部の知見を積極的に取り入れる価値は大きいといえるでしょう。最終的な安全配慮義務の履行については、個別の事情に応じて弁護士等の専門家にも相談しながら、社内の体制を継続的に見直していくことが望まれます。担当者が異動した場合でも安全管理の水準が下がらないよう、過去の点検記録や委託先とのやり取りを資料として蓄積し、引き継ぎ資料として整備しておくことも実務上の重要なポイントです。庭園の安全管理は一度整えて終わりではなく、施設の使われ方や植栽の生育状況の変化に応じて、継続的にアップデートしていく取り組みとして位置づけることが望まれます。

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