法人向け庭園工事契約書に盛り込むべき瑕疵担保条項

監修者:Japanese Garden TV

日本庭園専門メディア「Japanese Garden TV」を運営。国内外の庭園取材や施工現場での知見をもとに、日本庭園の設計・施工・維持管理について分かりやすく解説しています。庭師や造園会社への取材ネットワークを活かし、実務に即した情報をお届けします。

監修者:Japanese Garden TVをフォローする

法人施設の庭園工事は、金額の規模が大きくなりやすく、また完成後も長期間にわたって施設の一部として使用され続けるため、契約書における瑕疵担保(契約不適合責任)の条項をどのように定めるかが、後々のトラブル防止に大きく影響します。工事金額の規模が大きくなるほど、社内稟議の段階で契約条件の妥当性を問われる場面も増えるため、担当者としては契約書の内容を自分の言葉で説明できる状態にしておくことが望ましいといえます。総務・法務・施設管理の各担当者が押さえておきたい基本的な考え方を整理します。

庭園工事特有の「瑕疵」の捉え方

庭園工事特有の「瑕疵」の捉え方

建物の工事と異なり、庭園工事では植栽の枯死や生育不良、造成した地盤の沈下、舗装材のひび割れや不陸、給排水設備の不具合など、時間の経過とともに顕在化する不具合が少なくありません。こうした不具合は工事直後の竣工検査だけでは見抜けないことが多く、瑕疵担保条項の設計そのものが、発注者にとって重要なリスク管理手段になるという認識を持つことが出発点となります。特に植栽については、施工直後は問題がなくても、季節をまたいで枯れてしまう、想定より生育が悪いといった事象が発生することがあり、これを施工上の瑕疵とみなすか、自然現象や管理不足によるものとみなすかで見解が分かれやすい領域です。舗装材や排水設備についても、施工直後には表面化しない不具合が数年後に現れることがあり、竣工検査の時点だけで品質を判断しきれない難しさがある点も、法人の担当者としてあらかじめ理解しておくべきポイントです。こうした事情を踏まえると、竣工検査は一度きりのイベントとして扱うのではなく、引渡し後一定期間を経た時点でフォローアップ検査を実施する仕組みを契約に組み込んでおくことも、実務上有効な工夫の一つといえます。そのため、契約書上で「瑕疵」の対象となる範囲、特に植栽に関する保証の考え方をあらかじめ明確にしておくことが重要です。発注者としては、引渡し時の植栽の状態(樹高、樹形、根鉢の状態など)を写真や検査記録で残しておくことも有効な備えとなります。引渡し後に生育不良が生じた際、施工時点の状態と比較できる資料があることで、原因の切り分けや協議がスムーズに進みやすくなります。一般的には、工作物・構造物部分と植栽部分とで保証の性質や期間の考え方を分けて整理する契約例も見られますが、具体的な条項の設計については、個別の工事内容や取引実態を踏まえて弁護士に確認しながら定めることが推奨されます。

契約不適合責任の期間・範囲の定め方

契約不適合責任の期間・範囲の定め方

民法改正により従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」として整理されていますが、実務上の契約書では引き続き「瑕疵担保」という表現が使われることも多く、用語の使い方も含めて確認が必要です。期間については、工作物部分と植栽部分で異なる期間を設定する契約例や、引渡し後一定期間内に発見された不具合を対象とする契約例などが一般的に見られますが、具体的に何年とすべきか、どの範囲の不具合まで対象に含めるべきかは、工事の規模や樹種、施工条件によってケースバイケースです。特に、移植した高木の活着不良や、既存の土壌条件に起因する生育不良などは、施工会社の責任範囲とすべきか、発注者側の管理責任と整理すべきか、あらかじめ協議して契約書に落とし込んでおくことが望ましいといえます。こうした条項の具体的な文言は、必ず自社の法務部門または弁護士のレビューを経て確定させることが推奨されます。また、発注する法人の側でも、契約書のひな形を施工会社任せにせず、自社の他の工事契約で使用しているフォーマットとの整合性を確認しながら条項を整えていくことで、社内の稟議や監査の際にも説明がしやすくなります。複数の造園会社から見積もりを取る場合は、契約条件の比較も含めて検討することが望ましいです。

免責事由・不可抗力条項との関係

免責事由・不可抗力条項との関係

庭園は屋外の生き物や自然環境を扱う工事であるため、台風や大雪、病害虫の発生、想定を超える猛暑や渇水といった自然現象によって植栽に影響が出ることも少なくありません。契約書では、こうした不可抗力に起因する損害について、施工会社の瑕疵担保責任の対象から除外する免責条項を設けることが一般的です。ただし、どこまでを「不可抗力」と扱うかの線引きは曖昧になりがちで、通常想定される範囲の気象変動なのか、施工会社の管理体制上の問題なのかで争いになるケースもあります。発注者側としては、免責条項の文言があまりに広範にならないよう、具体的にどのような事象を不可抗力として想定しているのかを協議の上、契約書に明記しておくことが望ましいです。この点についても、個別の解釈は専門家の判断を要するため、契約締結前に弁護士のレビューを受けることが推奨されます。加えて、施工後の管理方法(灌水の頻度や施肥など)が発注者・維持管理会社側の対応によって左右される場合には、施工会社が求める管理条件を契約書や仕様書に明記しておくことも有効です。管理条件を満たしていなかったことが後日の争いの火種にならないよう、双方の役割分担を事前に文書化しておく姿勢が求められます。

維持管理契約との責任範囲の切り分け

維持管理契約との責任範囲の切り分け

庭園工事の完了後、多くの法人施設では別途、定期的な剪定や芝刈り、施肥などを行う維持管理契約を結びます。このとき問題になりやすいのが、施工時の瑕疵担保責任と、その後の維持管理契約における管理責任との境界です。例えば植栽が枯れた場合、それが施工不良によるものか、その後の管理不足によるものかは、時間が経つほど判別が難しくなります。トラブルを避けるためには、工事請負契約と維持管理契約を締結する段階で、それぞれの責任範囲や、不具合発生時の原因調査の進め方についてあらかじめ取り決めておくことが有効です。特に施工会社と維持管理会社が異なる場合には、引継ぎ時の植栽状態を写真や記録で残しておくなど、後日の責任分界を明確にするための証跡管理も重要になります。発注者としては、工事完了時の引渡し検査に維持管理会社の担当者にも同席してもらう、あるいは引継ぎ資料を三者間で共有するといった工夫により、後々の責任の所在をめぐる認識のズレを未然に防ぎやすくなります。

契約書レビュー体制とZenGardenのような支援の活用

契約書レビュー体制とZenGardenのような支援の活用

庭園工事契約における瑕疵担保条項は、一般的な建設工事の契約書ひな形をそのまま流用すると、植栽特有のリスクが十分にカバーされないことがあります。社内の購買・法務部門が使用している標準契約書式が、建物工事を前提に設計されている場合には、庭園工事特有の論点が漏れていないか、あらためて個別にチェックする工程を挟むことが望ましいといえます。法人の担当者としては、造園工事に詳しい弁護士や、複数の造園会社との取引実績を持つ第三者的な立場のサービスを活用し、契約書の内容を業界の実務に照らして確認することが有効な進め方の一つです。ZenGardenのような、法人と造園会社をつなぐプロデュース・代理店の立場から、契約条件の整理や業者間の実務慣行の情報提供をサポートするサービスを利用することで、担当者だけで契約書を精査する負担を軽減できる場合があります。ただし、最終的な契約書の法的な妥当性については、必ず自社の法務部門や顧問弁護士の確認を経た上で締結することが重要です。契約交渉の初期段階からこうした第三者を関与させることで、施工会社側の一方的なひな形をそのまま受け入れるのではなく、発注者の立場に立った条件調整がしやすくなるというメリットもあります。長期的に複数の庭園工事を発注する予定がある法人ほど、こうした契約実務の型を早い段階で整えておく価値は大きいといえるでしょう。

関連記事

タイトルとURLをコピーしました